Microscope
Microscope / Tulane Public Relations

佐賀大学はアトピー性皮膚炎が慢性化する原因は、アレルギーのもとになる物質(抗原)によって生じるタンパク質「ペリオスチン」だと発表しました。
アトピー慢性化の原因解明 佐賀大など / 西日本新聞

佐賀大学医学部の出原賢治教授(生化学)などの研究グループによると、抗体が体内に入ると
①炎症性メディエーターが生じ、
②ペリオスチンが大量発生、
③ペリオスチンが別のタンパク質「インテグリン」と結合、
④さらに炎症性メディエーターを増殖させる
というサイクルが起こり、アトピー性皮膚炎が慢性化する原因になるという。

※炎症メディエーターとは、損傷された組織、および炎症部位に浸潤した白血球や肥満細胞マクロファージなどから放出される生理活性物質。 )
痛みと鎮痛の基礎知識 – Pain Relief ー炎症メディエーター

※ペリオスチン(Periostin)
タンパク質の一種。99年に工藤明さんによって発見され命名された。
発見された当初は、ペリオスチンが歯を含む骨組織の再生に働くとされていたが、
最近ではガン細胞の増殖抑制や心筋梗塞組織の修復にもかかわっていることが分かっている。
http://pdf.landfaller.net/65/4_kudo.pdf

※インテグリン
インテグリン(integrin)は細胞表面タンパク質のひとつで、主に細胞外マトリックスへの細胞接着、細胞外マトリックスからの情報伝達に関与する細胞接着分子である。
インテグリン – Wikipedia

ペリオスチンの発見は新しい治療薬の開発につながると期待されています

現在アトピー性皮膚炎の治療にはステロイドや免疫抑制剤が用いられているようですが、別の感染症にかかりやすくなるという副作用があるそうです。

今後、ペリオスチンとインテグリンの結合を妨げるような薬が開発されれば、アトピー性皮膚炎の慢性化が解消されるかもしれないと期待されています。